令和6年 正月の言葉
他人の過失は見やすいけれども 自分の過失は見がたい
ひとは他人の過失を籾殻のように吹き散らす
しかし自分の過失は隠してしまう
中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
今月は『法句経』の「汚れ」という章から聖句を選んでみました。
この聖句を読んだだけでも意味はだいたい理解していただけるのではないでしょうか。自分も含めてですが、一般的に自分の過ちは棚に上げておきながら、他人の過失には敏感であり、「他人に厳しく、自分に甘い」ところがあります。そこには、実力や能力以上に自分を良く見せたいとか、相手への嫉妬など不純な動機が潜んでいることが多いように思います。
聖句ではさらに続けて「他人の過失を探し求め、つねに怒りたける人は、煩悩の汚れが増大する」と説かれます。ここでは、自分ではなく他者へ関心が向いてしまい、怒りという感情に支配されてしまうと、さらに邪な感情が増殖して、それに支配されることが指摘されています。