12月の言葉

徳行と見識とをそなえ 法にしたがって生き、真実を語り

自分のなすべきことを行なう人は 人々から愛される

中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』

今月は『法句経』の「愛するもの」という章から聖句を選びました。

ここでは、実践と知識の両方を備えていて、人として守るべき法(のり)に従い、嘘をつくことなく真実を語り、なすべきことを実行する人は慕われることが示されています。たしかにこのような人は、昔であろうと現代であろうとも、信頼に足る人物として評価されることに変わりはないでしょう。

これまでにも何回か書いてきましたが、人は正しい知識や経験を備えていれば適切な判断を下せますが、もし備えていなければ、第三者の考えや言動に影響を受けてしまい、判断を誤ることが往々に出てきます。上記のような人と付き合うことは、自らの知識や経験が不足していたとしても、目指すべき道を歩めるよう人間関係を含めた自らの環境を整えているとも考えられます。

そして自分を正しい道へ誘導してくれる他者を見つけることも大事なことですが、自らも言動を律して、頼られる存在へなることも追い求めるべきではないでしょうか。もちろん年齢が全てではないですが、人は年齢を重ねるごとに知識や経験も積み重ねていきます。その成長の過程で、頼るだけでなく、自分も他者から信頼され慕われるような人間になれるよう意識したいものです。