3月の言葉
うるわしく、あでやかに咲く花でも香りのないものがあるように善く説かれたことばでも
それを実行しない人には実りがない
中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』より
解説
長い冬がそろそろ終わりを告げ、3月になると春本番となってきます。今月の後半ともなれば、色鮮やかな春の花々を目にする機会が増えてくるのではないでしょうか。
日本と釈尊が過ごしたインドでは、当然のことながら生息する花の種類は異なるでしょうが、花を愛でる気持ちに大差はないように思います。
これまで何度も紹介してきた『法句経』というお経には、その「花」にちなんだ教えをまとめている箇所があります。今月はその中から教えを選んでみました。
日々、我々は種々雑多な情報に接しています。その中には、有益な情報であったり、教え・教訓となるものがあると思います。みなさんは自分にとってそうした教えや教訓となり得るものを見聞きした時に、行動に移せるでしょうか。頭では有益であることが分かっていても、気分が乗らなかったり、他の欲求の方が勝ってしまい実践できないことは、誰しも経験があろうかと思います。
仏教に限らないかもしれませんが、教えや教訓を見たり・聞いたりしているだけでは、その有益さを実感することは難しいはずです。やはり、その教えや教訓にもとづいて実践することにより、それらの教え・教訓がもつ有益さを経験・体得できるのではないでしょうか。ただ、そうは言ってもすぐに全力で行動へ移せる人は多くないでしょう。そんな時は、少しずつでもいいから、行動へ移していくことを意識すると良いかもしれません。