令和8年2月の言葉

盗みを行なってはならぬ

虚言を語ってはならぬ

弱いものでも強いものでも

慈しみを以て接せよ

中村元訳『ブッダのことば』

今月は『スッタニパータ』「八つの詩句の章」の「サーリプッタ」から聖句を選びました。

釈尊の弟子の中でも特に重要な役割を果たした10人の弟子、いわゆる十大弟子とよばれる人々がいます。その中でも特に有力だったのがサーリプッタ(舎利弗)です。引用した聖句の前後では、釈尊がそのサーリプッタへ修行者の実践すべきことなどを説き示しています。

聖句を読んでいただけると分かると思いますが、特別難しいことが書かれているわけではありません。仏教には最も基本的な戒めとして「五戒」(不殺生・不偸盗・不邪淫・不妄語・不飲酒)がありますが、そのうちの二つに該当するもの(不偸盗・不妄語)が提示された後に、慈しみの大切さを示しています。

最後の「慈しみ」ですが、そもそもどのような心持ちでしょうか。以前にも紹介したことがありますが、松江市出身の中村元先生によると、「慈しみ」とは他者へ対する同情・共感・愛情を意味します。

常に他者へ慈しみを抱いて相手を尊重することは、他者だけでなく自分にとっても暮らしやすい環境を作り出すことにつながるでしょう。そして前二つの行いも、自分の環境を整えることに資するはずです。

もちろんサーリプッタへ説いたことはこれだけではありませんが、ここで説かれる三つの徳目を心がけるだけでも、心穏やかな生活に近づけると思います。