令和7年7月の言葉
諸々の愚者に親しまないで
諸々の賢者に親しみ
尊敬すべき人々を尊敬すること
——これがこよなき幸せである
中村元訳『ブッダのことば』
今月は『スッタニパータ』「小なる章」の「こよなき幸せ」から聖句を選びました。
仏教では、究極的に人は孤独であるという認識を持っています。しかし、それと同時に、人間は独りでは生きていけないと理解もしています。そのため、悪友とは親しまず、良き友人と交流すべきことを主張します。たとえば 「学識ゆたかで真理をわきまえ、高邁・明敏な友と交われ」といった具合です。だれかれ構わず関わればよいというものではないのです。
確固たる知識や経験がある場合は別ですが、人は周囲の人々の意見に流される場合が多々あります。もし充分な知識や経験を備えていなければ、悪友に囲まれていると、悪い影響を受け、良友に囲まれていれば、良い影響を受けることになるでしょう。
そして3句目も前2句の延長線上にあると考えられ、尊敬すべき人々を尊敬することによって、自らが良い方向へ導かれるでしょう。反対に、尊敬に値しない人々の意見を取り入れてしまうと、悪い方向へ進む可能性が高まってしまいます。 そのため、我々は人を見る目を磨き、良い友人・尊敬すべき人々とそうでない人とを判別できるようにならなければなりません。周囲の人々をきちんと選定することにより、自らが正しい道を歩めるよう、良い環境を作り出していく努力をしていかなければなりません。それがみずからの幸せへとつながっていくと考えられます。