令和8年3月の言葉

よく気をつけて、それらを制するために

つとめよ。すなわち色かたちと音声と

味と香りと触れられるものに対する

貪欲を抑制せよ

中村元訳『ブッダのことば』

今月も『スッタニパータ』「八つの詩句の章」の「サーリプッタ」から聖句を選びました。

後代の仏教では(A)眼(視覚器官)・(B)耳(聴覚器官)・(C)鼻(嗅覚器官)・(D)舌(味覚器官)・(E)身(触覚器官)・(F)意(知覚器官)の六つの構成要素から人間は成り立っていると考えるようになり、これらを「六根」(ろっこん)と呼んでいます。六根は、それぞれ(a)色かたち・(b)音声・(c)香り・(d)味・(e)触れられるもの・(f)知覚されるものを対象としてとらえます。上記の聖句では(f)に該当するものがありませんが、前五つが表されています。ここでは後代の「六根」の対象がすべて示されてはいませんが、心を制御するための方法として、外界からの刺激に対して過剰な欲求をもつことを戒めています。

近年では、多くの寺院で座禅体験ができるようになりました。そのため、座禅を体験された方も多いかもしれません。日本には座禅を実践する宗派がいくつかあり、宗派ごと、引いては指導者ごとに説明の仕方があると思われますが、自分は座禅指導で上記に関連したお話しをします。ご存知の通り、座禅では目を閉じたり足を組んだりします。座禅の姿勢をとることで、意図的に外界から受ける刺激を制限し、残りの「意」である心を落ち着けることを目指していることを説明しています。