令和7年8月の言葉

深い学識あり、技術を身につけ

身をつつしむことをよく学び

ことばがみごとであること

——これがこよなき幸せである

中村元訳『ブッダのことば』

ここでは、人生を歩む際に、必要なことが端的に示されます。意味するところは何となく理解できると思いますが、少し補足をしていきましょう。

まず「深い学識」とありますが、「智慧」とも言い換えることができるでしょう。仏教では、物事を正しく認識することが重要だと考えています。正しい判断をするには智慧が必要であることは、今も昔も変わりません。

次いで、技術について言及されます。釈尊の時代であっても、身に付けるべき知識や技術というものがありました。現代では、さまざまな分野において日進月歩で科学技術が発達・進化しています。むしろ、今の方が、新しい技術を身につける努力がより求められるかもしれません。

そして「身をつつしむこと」とは、自己を制御することです。これにはいろいろな解釈ができるかもしれませんが、かつて紹介した「身口意の三業」も一つの基準といえるでしょう。「身口意の三業」とは、「身業」が身体的行為、「口業」が言語的行為(=ことば)、「意業」が心に思う働きと説明されるものです。「身口意」のそれぞれを制御することで、煩悩から自分の心を守ることができます。

最後に「ことばがみごとである」とは、相手に左右されず、自分の考えを述べることとされます。

社会生活を送るうえで大切なことは、時代が変わっても、大きく変わらないのかもしれません。