令和6年11月の言葉

みずから自分を励ませ

みずから自分を反省せよ。修行僧よ

自己を護り、正しい念いをたもてば汝は安楽に住するであろう

中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』

今月は『法句経』の「修行僧」という章から聖句を選びました。

この章は、仏教の修行僧である比丘(びく)のあり方や彼らへの教えをまとめたものと言われます。上記の詩句も比丘へ語られたものでしょうが、われわれ一般の者にも通じるものがあると思います。

さて、われわれは日々生活を送っていますが、毎日心を落ち着けて意欲的に過ごすことができているでしょうか。もちろん、目標や仕事の締め切りなどがあって、目的達成のために心身ともに充実して物事に取り組めている時もあると思います。ただ、自分も含めてですが、人は「面倒くさい」とか「しんどい」などのように、どうしても意欲的になれないことがあります。いわゆる「やる気がでない」という状態ですね。ただ最近になって、その「やる気」は幻想だと指摘する記事を見つけました。つまり、「やる気」とはやらない時の後付けの言い訳だということでした。解決法としては、とにかく始めてみることだそうです。

これを仏教の教えにあてはめてみると、「怠ることなかれ」ということになるでしょうか。インドの古い経典では、さかんにこの「怠ることなかれ」が強調され、自らを律して励むように説かれます。人間は怠け心が生じるものですが、そこは自分を律して取り組み、後悔のない穏やかな気持ちで過ごしたいものです。