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10月の言葉

2022/09/29 17:16

10月の言葉

実にこの世においては
怨みに報いるに怨みを以てしたならば
ついに怨みの息むことがない
怨みを捨ててこそ息む

中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』より
<解説>
   『法句経』の中でも有名なことばの一つです。目にしたり、耳にしたりしたことがある方も多いかもしれません。
   人間は他人から不利益を被ってしまった場合、その人物へ不満を抱き怨んでしまいます。そして、この不利益が大きければ大きいほど、相手への怨みを募らせて報復行為へと走りがちです。個人レベルでも怨みを捨てることはなかなか難しいですが、個人から規模が大きくなって国家レベルともなると、さらに困難をともなうことが推察されます。
   この教えは、まさに「言うは易し行うは難し」と言えるでしょう。
   個人であれ国家であれ、悪事の行為者は、それに対する正当な報い(現代で言えば刑罰など)を当然ながら受けるべきです。しかし復讐心という怨みにより相手を極限にまで追い込むことは、それが報復の連鎖を生み、結果として、争いが止まなくなってしまいます。このことは過去の歴史からも明らかです。
   個人的にはこの教えだけではなくて、害意ある行動を起こさせない、そして悪い行為をした場合にはその報いは必ず受けることも併せて説き示し、相手を正しい行動へ導いていく必要があると考えています。
   いずれにせよ、本当の意味での平穏・平和の実現とは、この教えの意味をしっかりと理解したときなのではないでしょうか。