7月の言葉
2022/06/30 16:02
7月の言葉

完き人の教えには
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中村元訳『ブッダ最後の旅』より |
<解説>
今月1日付けで第7代貫主を拝命した善曉と申します。拙寺興隆のため尽力してまいりますので、何卒倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げます。さて、初めての「今月のことば」となりますが、釈尊の最晩年について描かれた『涅槃経』から選びました。 ある時、釈尊は病にかかってしまいます。その後、その病から回復しますが、釈尊に対して侍者の阿難が最後の説法を請います。「今月のことば」は、釈尊が阿難へ説かれた一部です。 釈尊は「自分は自らの教えを誰にでも、隠すことなく説いてきた」ということを語っています。つまり「教師の握り拳」とは、師匠が教えを握り拳の中に秘めて人に伝えないことを意味します。 当時の仏教を除いた諸宗教においては、特定の人間にしか教えを伝えない方が普通でした。インドでは教えの伝承が限定的・閉鎖的であるのが一般的であったにも拘わらず、釈尊はその常識を打ち破り、自らが覚ったこと(教え)を請う人々へ伝えてきたのです。 釈尊の「慈悲の心」により、その教えがインドから中国・韓国を経て日本にまで伝えられてきました。お寺の基本は、仏(ほとけ)の教えを説くところ・聞くところであると信じています。これからもこの基本から外れることなく取り組んで参りますので、よろしくお願いいたします。 |
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