8月の言葉
2022/07/27 17:16
8月の言葉

すべて悪しきことをなさず
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中村元訳『ブッダの真理のことば 感興のことば』より |
<解説>
ご存知かもしれませんが、日本の仏教諸宗派すべてが重視する経典は無いに等しいと言っても過言ではありません。しかし、それでも諸宗派に共通する教えは何かと問われれば、今月あげている『法句経(ダンマパダ)』の一句になろうかと思います。「悪いことをせず、善いことをして、心を悪に染めないで浄らかにする」という、非常にシンプルとも言える教えです。ここで「悪いこと」や「善いこと」とは何かが問題となりますが、紙幅の関係上、「善いこと」を説明しましょう。 在家・出家において程度の差こそあれ、仏教徒が守るべき基本的な戒めとして、「五戒(ごかい)」があります。その五つとは以下の通りです。 ⒈生きものを殺さないこと ⒉盗みをしないこと ⒊性に関して乱れないこと ⒋嘘をつかないこと ⒌酒を飲まないこと 戒めを守ることは、財産や人間関係、そして品性ある生活に役立つとされるばかりか、普段からの怒りや嫉妬などからも距離をとることができ、心穏やかな生活を送れると説かれます。 最近の報道でも、これら五戒から逸脱する行為がたびたび見受けられます。報道での事件に限らず、五戒を守れないことにより、さまざまな人生の場面で悪影響がでてくることは容易に想像がつくと思います。 いま改めて、生活の基本に五戒を据えてみてはいかがでしょうか。 |
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7月の言葉
2022/06/30 16:02
7月の言葉

完き人の教えには
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中村元訳『ブッダ最後の旅』より |
<解説>
今月1日付けで第7代貫主を拝命した善曉と申します。拙寺興隆のため尽力してまいりますので、何卒倍旧のご支援を賜りますようお願い申し上げます。さて、初めての「今月のことば」となりますが、釈尊の最晩年について描かれた『涅槃経』から選びました。 ある時、釈尊は病にかかってしまいます。その後、その病から回復しますが、釈尊に対して侍者の阿難が最後の説法を請います。「今月のことば」は、釈尊が阿難へ説かれた一部です。 釈尊は「自分は自らの教えを誰にでも、隠すことなく説いてきた」ということを語っています。つまり「教師の握り拳」とは、師匠が教えを握り拳の中に秘めて人に伝えないことを意味します。 当時の仏教を除いた諸宗教においては、特定の人間にしか教えを伝えない方が普通でした。インドでは教えの伝承が限定的・閉鎖的であるのが一般的であったにも拘わらず、釈尊はその常識を打ち破り、自らが覚ったこと(教え)を請う人々へ伝えてきたのです。 釈尊の「慈悲の心」により、その教えがインドから中国・韓国を経て日本にまで伝えられてきました。お寺の基本は、仏(ほとけ)の教えを説くところ・聞くところであると信じています。これからもこの基本から外れることなく取り組んで参りますので、よろしくお願いいたします。 |
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6月の言葉
2022/05/29 17:11
6月の言葉

人は信仰によって激流を渡り
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ブッダの言葉より |
<解説>
人生は「七転び八起き」、この世は「四苦八苦」と言われるように「幸せ」は束の間、直ぐに苦しみや悲しみが襲ってくる。若い時の苦悩は努力で切り開くことが出来るが、徐々に努力だけでは苦悶を取り除くことが出来なくなってくる。如何してもその困窮に耐える「勇気」と「安心感」を心に与えてくれるものが必要である。 その難問に答えてくれるものが「信仰」であり、信仰は何ものにも動じぬ心の平安と勇気を与えてくれる。 お釈迦さまはこのことを「信仰によって激流を渡る」と表現して信仰を持つことの功徳の大きさを示してくださっている。 愚僧自身も観音信仰のお陰で75歳の今日まで何とか激流を渡ってくることが出来た。 信仰によって奇跡が起きるとは言わないが、結果として奇跡が起きたのかと思える不思議な功徳を何度か経験した。そしてそうした経験の積み重ねの中で、切羽詰まった時「観音様にお願いすれば何とかして頂ける」との確信のようなものが生まれ、取り乱す事なく難題に対処する事が出来、結果として大難を小難で逃れることが出来て来た。 心とは不思議なもので、恐怖感や不安感に囚われるとすべてのことに狼狽し、しなくても良い失敗を繰り返し、益々不幸を呼び込んでしまう。その反面、心が冷静で安心感を持ち続けていると、不思議に苦境を脱出する智慧が湧き、深みに陥らずに脱出することが出来る。 信仰とは御仏の功徳を信じること。そして信じれば救われる、と古来から言い伝えられるように正に信仰の力は絶大である。 益々信仰を深め、平安な日々を是非獲得して頂きたい。 |
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5月の言葉
2022/04/29 17:21
5月の言葉

尊敬と謙譲と満足と感謝と
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ブッダの言葉
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<解説>
昨年の11月に本山で住職勤続50年の表彰を頂いた。思い返せば昭和45年の11月、師匠である貫主が壊疽の為寝たきりになり、代務を努めるため副住職を拝命したのが始まりであった。
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4月の言葉
2022/03/31 13:01
4月の言葉

欲望は楽しみ少なく
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ゴータマ・ブッダ上(中村元著)より |
<解説>
今月の言葉はお釈迦様が後年シャカ族のマハーナーマに述懐された時の言葉だそうです。
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3月の言葉
2022/02/27 17:14
3月の言葉

喉の渇いた修行者に
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スリランカの寓話より |
<解説>
スリランカのある村で、町中の人総出で豆の収穫作業をしていた。そこへ1人の修行者が水を求めてやってきた。この修行者の苦しそうな姿を見た1人の少女は気の毒に思い、収穫作業をしている人達が用意していた「水」を村人の許可も無く与えてしまった。
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2月の言葉
2022/01/29 18:25
2月の言葉

衰亡をきたさ無い為の
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ブッダ最後の旅(遊行経)より |
<解説>
お釈迦様は死を迎える準備のため、故郷への帰り支度をしておられる時、阿南尊者に近くにいる弟子を全員集めるように指示され「衰亡しないための7つの教え」をお説きになりました。その7つの教えとは
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正月の言葉
2021/12/25 15:01
正月の言葉

他人の言葉を吟味する
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ジャータカ物語より |
<解説>
新年のお慶びを申し上げます。寅年となりましたが皆様のご多幸をお祈り申し上げます。
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12月の言葉
2021/11/30 18:38
12月の言葉

羅睺羅よ
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「大智度論」より |
<解説>
羅睺羅(ラーフラ)とはお釈迦様の実子で密行第一、学習第一と讃えられ、釈尊の十大弟子に数えられたた高僧です。
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11月の言葉
2021/10/31 11:20
11月の言葉

山住みの冬の夕べの寂しさを
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良寛の「法華讃」より |
<解説>
皆さんよくご存知の良寛和尚の「法華讃」と言う本が出版されました。この本は禅僧の良寛和尚が法華経を百二首の句でもって讃えられたものだそうです。
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10月の言葉
2021/09/30 16:36
10月の言葉

瞋りを殺して安穏である
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大智度論より |
<解説>
早いもので秋の彼岸も過ぎ、早10月となりました。コロナ感染も収束の兆しが見え、皆さん11月からの自粛解禁を待ち望んでおられることでしょう。でもその期待が裏切られた時、皆さんはどのような行動をとるのでしょう。私達は自分が期待したことが実現できない時、言いようのない瞋り(いかり)に襲われ、言わなくてもよい悪口を口走り、取り返しの付かない行為に走ってしまうことが多々あります。
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9月の言葉
2021/08/31 16:36
9月の言葉

衆生は常に苦悩し
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法華経化城喩品より |
<解説>
はや秋の彼岸を迎える月となりました。もう皆さんもよくご存知のように彼岸とは仏の国、即ち浄仏国土に最も近づく時期という意味で、ご先祖さまのご供養をする時とされていますね。
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8月の言葉
2021/07/31 16:36
8月の言葉

心これ第一の怨なり
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往生要集より |
<解説>
新型コロナ感染でオリンピックも無観客開催となりましたが、皆様のご家庭でも感染対策の中、ご先祖さまの御供養も充分に出来なかったことと存じます。
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7月の言葉
2021/06/30 17:54
7月の言葉

仏子である観世音菩薩は
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観音経より |
<解説>
多くの皆様に信仰いただきます観音様のお名前について、無尽意菩薩がお釈迦様にお尋ねした場面です。
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6月の言葉
2021/05/31 16:53
6月の言葉

思うに怒りは怒りに
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憍賞彌本生物語より |
<解説>
私たち現代人は不本意な苦しみ、危害を加えられると、怒りの為にその首謀者や関係者を気が済むまで罰したいと願い、裁判等では被害者当人や家族は徹底して重い処罰を主張します。またマスコミや世間もそれが当然と考え、重い処罰を支持します。
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5月の言葉
2021/04/30 15:29
5月の言葉

皆で集まりて相談し
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ブッダ最後の旅より |
<解説>
ある時、マガダ国王は大臣に「大変繁栄しているバッジ国を如何しても打ち破りたい。武力や策略で息の根を止めてしまいたいが、霊鷲山に住んでおられるお釈迦様の下に行き、礼拝してご機嫌を伺い、バッジ国を攻め滅ぼしたいがと相談してこい」と申しつけました。
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4月の言葉
2021/03/31 17:17
4月の言葉

無比の宝である
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スッタニパータより |
<解説>
4月8日は降誕会、お釈迦様のお誕生をお祝いする日です。この日は色取り取りの花で飾ったお堂の中に誕生仏を安置し、誕生仏に甘茶を掛けると共に私達もその甘茶を頂戴してお徳にあやかろうとするお祭りです。
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3月の言葉
2021/02/27 18:07
3月の言葉

心の外にあると
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法相二巻抄より |
<解説>
春彼岸の月となりました。彼岸とは覚りの岸と言う意味で、彼岸は私達が覚りの岸に一番近づく日とされていますが、現実には中々覚りに近づけません。
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2月の言葉
2021/01/31 18:32
2月の言葉

涅槃に入るとは
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法華玄義より |
<解説>
二月十五日は涅槃会です。お釈迦様の寿命が尽き、お亡くなりになった日で涅槃されたと言っています。しかし、今月の言葉は「お釈迦様の涅槃は私達凡夫に命には限りあり、仏といえども滅度される。と言うことを教え示されたもので、実際は、仏様は滅尽されたのでは無く、私達の側に存在し、常に教えを示し、導いて下さっている。」のだと言うことを強調しているのです。
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正月の言葉
2020/12/28 19:23
正月の言葉

私が求めるのは土台ではない
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百喩経より |
<解説>
ある国に大変な富豪が居ました。彼は強い羨ましがりやでした。ある日友人のそれは美しい高層の家に招かれました。その家の余りの美しさに驚くと共に羨ましくてたまりません。早速家に帰ると出入りの大工を呼び付け、世界で一番美しい高層の楼閣を造るように命じました。
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